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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 176,911 字 · 353 頁
「あすは、必定、敵に会おう」
と、ここで、初めて、甲冑を身に着けた。
土地の郷士、長谷川甚助をよんで、地理をたずねたり、先発隊から頻々と来る伝令に接したりしていた。
味方の小幡城は、もう程近い距離だった。
先鋒の水野隊は、ひと足さきに城へついて、夜どおし、斥候を放ち、西軍の進路と情況を、手にとるように察していた。
まもなく、家康の主力も、ここに着き、すぐ軍議をひらいた。
水野忠重は、云った。
「敵は、二万余り、お味方は一万四千。かれの優勢に、正攻を取るのは不利とおもわれます。――一応、やり過ごして、敵の尾端から撃破してかかるべきでしょう」
家康は、うなずいて、
「うしろから、逆攻めを食わすもよい。しかし、要は、敵を二つに分裂させてしまうことだ。汝らは、敵の後尾を打て。自分は、敵の先鋒へ立ちむかわん」
と、決意を告げた。
たれにも、異議はない。迅速こそ、この場合、唯一の大事ということを、一兵卒にいたるまで知っていた。
九日の寅の刻(午前四時ごろ)には、もう徳川勢の一半は、小幡城をくろぐろと、忍び出ていた。
刻々と、昼も夜も、三河路を南へさして、大きく、迅く、しかも強力な破壊力をもって流れつつある――西軍潜行隊の尾端をとらえて――追跡するためにであった。