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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 頁
「それッ、木剣でも、槍でも持って、かかって来い」
と、日吉の背を、突き放した。日吉は、前へ泳いで、辛くも踏み止まったが、そこらにある稽古槍にもにも手を出さなかった。
「なぜ持たんッ」
ひとりが、槍の先で、彼の胸をわざと小突いた。
「稽古をつけて遣わすから、貴様も得物を持て。……それ、それッ、突き倒すぞ」
日吉はまた、蹌めいた。
しかし、強情に突っ立ったまま、唇を噛んでいた。
――ちょうど、その一方では。疋田小伯の門下の、神後五六郎や榊市之丞やらが、松下家の家来たちの求めに応じて、真槍で力試しをしていた。
汗止めの鉢巻した神後五六郎が、真槍を把って積み重ねてある五斗入りの米俵を、槍にかけては、鮮やかに、宙へ刎ね上げて、怪力を見せていたのである。
「なるほど、その御手練では、戦場で人間を、槍にかけて飛ばすくらいは、易々たるものでござろう。恐れ入った力だ……」
驚嘆している人々へ、神後五六郎は、
「これを、力技と御覧あるは、お考えちがいでござる。力を入れたら、槍の柄が折れる。また、すぐ腕が疲れてしまう。――それでは、戦場を馳駆して、何ほどの働きがなりましょうや」