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しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 頁
じゃじゃ馬
と、藤吉郎の近状を、そんな程度に伝えて帰った。
おつみは、その初春、初めて垢のつかない小袖を着たので、
「弟が送ってくれました。……お城にいる藤吉郎が」
と、どこへ行っても、弟が弟がと、口に出さずにいられなかった。
じゃじゃ馬
どうかすると信長は、無口になって、終日鬱ぎこんでいる日があった。非常な癇癖を抑えるためにはまた、非常な無口と憂鬱の現象が、自然起るのかも知れない。
そんな時である。
「卯月を出せ。卯月を」
いきなり呼ばわって、城外の馬場へ駈け出して行ったりした。
先殿様の信秀時代には、一年のうち半年以上も、たえず西に攻め東に護り、一生戦争に暮していて、居城のうちに落着いていられる暇もほとんどなかったくらいだが、そんな中でも、およそ朝は祖先の礼拝、近侍の受礼、講書や武道の稽古、それから夕刻まで領内の政務を見、また晩には、軍書に親しむとか、評議とか、寸暇を寛いで家庭の良い父になって興じるとか――一定の規律があったものだが、信長の代になっては、そういう定規はなくなってしまった。
というよりも、信長自身の性格が、そういう定規にあてはまらないのである。