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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 頁

青空文庫

と、大まかなことをいってはいたが、一面、家中一般に、暇がなくなったので、むだな炭火を費やして、炉を囲んでいる時間などなくなってしまったのである。

また、多少暇があっても、体を動かして、絶えず筋肉に緊張を持つと、自然、炭火などは不用な物になり、炊事その他の燃料もすべて簡略になって来て、一ヵ月の燃料が三ヵ月もある程、変って来た。

が――藤吉郎は、それでもまだ、自分の職分を達したものと、満足はしなかった。

来年の冬の炭薪は、夏山のうちに、山で買入れの契約をする。彼は、お城御用の商人を案内に立て、山支度して検地に出かけた。

薪山の検地などは、従来から形式だけのものに過ぎない。

あの山の楢何百本。

この山のくぬぎ何本。

と、山商人に引っ張りまわされて克明に視て歩いたところで、一山から炭薪が何石とれるか、素人目では見当もつかなかった。

百姓仕事や、町のことなら、何でも心得ているつもりだが、藤吉郎にも炭薪のことなどは、仔細に分っていなかった。

「む、む。左様か。――なるほど、なるほど」

彼も、従来の慣例どおり、ざっと歩いて、形式だけで降りて来た。

商人たちは、その晩、奉行の一行を、土地の豪家に招待して、盛宴を張る――。