輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
しんしょたいこうき
新書太閤記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 頁
母の好きな饅頭――
買ってやりたいが。自分も喰べたいが。と喉から手が出るほど欲しく思いながらも、買えずに、手押し車を押して、さもしい我慢をしながらこの前を通った少年の日が――いつもここへ来れば思い出されるのだった。
「やあ。木下殿ではないか」
若い娘づれの武士。さっきからこちらを見ていたが、彼が、盆の饅頭を空にした頃、こう声をかけながら立って来た。
「おお。これは」
藤吉郎は、頭を下げた。
弓之衆の浅野又右衛門長勝なのである。小者小屋に勤めていた頃から、世話になった人なので、格別、礼を篤うして、いんぎんに辞儀をした。
が――場所は、城内とちがい、町の米饅頭屋の土間なので、又右衛門も、きょうは気軽だった。
「おひとりかな」
「はい。一人で」
「こちらの床几へ参らぬか――あれへ寧子も連れて来ておるで」
「ほ。お嬢様も」
藤吉郎は、横を見た。
すぐ床几一つ隔てて、うしろ向きに、十七、八の小がらな麗人が、白い襟足を見せて、騒々しい辺りの客の中に、独り端然として、腰かけていた。
麗人――といったが、藤吉郎も女にかけては、かなり鋭い審美眼を備えている。あながち、彼の眼だけにそう見える女性ではなく、誰が見ても、