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しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 頁

青空文庫

陽が西になりかけた頃、お奈加は帰って来た。光明寺の住僧がひとり一緒だった。

(何処へ行っていた?)

とも訊かず、筑阿弥はまずい顔して、おつみを相手に働いていた外の莚に坐りこんでいた。

光明寺の僧は、

「筑阿弥どの、きょう御家内が見えて、こちらの息子どのを、寺へお小僧に出したいとの頼みじゃが、御同意かの」

と、訊ねた。

筑阿弥は、黙ってお奈加のほうを見た。彼女は背戸の外で、両手を顔に当てて泣いていた。

「ふうむ。……それもよかろうが、寺入りには、証人も要るが」

「幸い、藪山のすそに住んでござる加藤殿の嫁御は、こちらの御内儀とは、御姉妹じゃということであるしな」

「あ。加藤へ行ったのか」

筑阿弥は、なおさらほろ苦い顔をしたが、日吉の寺入りには、反対しなかった。

「よろしいように」

と、ひと事のように、彼はおつみへ用をいいつけたり、農具を仕舞ったり、日暮を忙しげに働き出した。

その間に、日吉は納屋から出されて、母に懇々と何か諭されていた。

一晩中、納屋の蚊に食われどおしでいたので、彼の顔は大きく腫れ上がっていた。寺へ奉公に行くのだと聞かされた時、日吉はふと、涙を溜めたが、すぐ元気になって、