輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

しんしょたいこうき

新書太閤記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《新書太閤記(しんしょたいこうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 180,256 字 · 361 頁

青空文庫

そこへ下婢が来て、彼女に告げた。

「ごしんぞ様。ちょっと急いでお越し下さいませ。旦那様がまた、お苦しみの御様子ですから」

おえつは、聞くとすぐ、日吉の姿など眼のうちにないように、何もいわず家の中へ駈け入ってしまった。

置き捨てられた日吉は、ちょっとぽつ然として、尾濃の平野に暮れてゆく雲を見ていたが、やがて土塀口からはいりこんで、加藤家の台所の外に佇んでいた。

すぐ中村の家へ帰って、母の顔を見たかったが、義父の筑阿弥を思うと、わが家の垣にも、茨が感じられる。

(次の奉公口を、先にきめてから――)

というその辺の思慮と、藪山のこの家へは一度、耳に入れておくのが順序だとも考えたりして、来てみたのであるが、その弾正は、重態だというし……。

「どうしようかなあ?」

飢じい腹を思いながら、日吉は漠然と、今夜からの寝床を思案していた。すると彼の冷たい足に、何か柔らかなものが絡みついた。ふと見ると愛らしい小猫なのだ。日吉は、抱きあげて、台所の端に腰かけた。

「汝も、腹が減ってるのか」

夕方の薄ら陽が、彼と小猫のまわりに寒げに映している。小猫は、日吉のふところにがたがた顫えていたが、少し温んでくると、彼の顔をペロペロ舐めだした。