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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (下)(いちかわくめはち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 頁
に収められた歌以外のものに、かえって真実味に富んだ、哀婉痛切なる佳作が多いような気がする。私は先ず手録された詠草の最初にあった、
百人のわれにそしりの火はふるもひとりの人の涙にぞ足る
の一首に、これまでの武子夫人の歌に見られなかったような情熱を覚えると同時に、かなり感激した心持でこの新しい歌集『白孔雀』の編輯に従うことが出来たのであった。
この十一月初旬、この遺稿の整理をしに往った別所温泉は、信濃路は冬の訪れるのが早いのでもう荒涼たる色が野山に満ちて、部屋の中にいても落葉の降る音が雨のように聴えた。が、手録の詠草を一首々々読んでゆくうちに、私の耳にはだんだんそんなもの音も聴こえなくなった。私は真実味の深い歌が見出される度ごとに、若うして世を去った麗人を傷むの情に堪えなかったのである。
死ぬまでも死にての後もわれと云ふものの残せるひとすぢの路
そういう死をうたった歌や、
この胸に人の涙もうけよとやわれみづからが苦しみの壺
といったような悲しみの歌を読むと、私の目はひとりでに潤んだ。
たまゆらに家を離れてわれひとり旅に出でむと思ふときあり
たたかへとあたへられたる運命かあきらめよてふ業因かこれ