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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (下)(いちかわくめはち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 頁
三
殊更に黒き花などかざしけるわが十六の涙の日記
わが足は大地につきてはなれ得ぬその身もてなほあくがるる空
毒の香たきて静かに眠らばや小がめの花のくづるる夕べ
おとなしく身をまかせつる幾年は親を恨みし反逆者ぞ
殉教者の如くに清く美しく君に死なばや白百合の床
昔より吾あらざりし其世より命ありきや鈴蘭の花
息絶ゆるその刹那こそ知るべくや死の趣恋のおもむき
三十三歳の豊麗な、筑紫の女王白蓮は、『踏絵』一巻でもろもろの人を魅了しつくしてしまって、銅御殿の女王火の国の白蓮と、その才華美貌を讃える声は、高まるばかりであった。伝右衛門氏は、それほどの女性を、金で掴んでいるというふうに、好意をよせられないのもしかたがなかった。
だが、その時でも、どこまであの生活がいやなのか、あの歌のどこまでが真実なのかといったのは、彼女をよく知っていた人だと私は前にもいったが――
三
大正十年十月廿二日の、『東京朝日新聞』朝刊の社会面をひらくと、白蓮女史失踪のニュースが、全面を埋めつくし、「同棲十年の良人を捨てて、白蓮女史情人の許へ走る。夫は五十二歳、女は二十七歳で結婚」と標柱して、左角の上には、伊藤子の最近の写真の下に宮崎竜介氏のが一つ枠にあり、右下には、伊藤伝右衛門氏と※(「火+華」