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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (下)(いちかわくめはち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 頁
それに、山谷の八百善は妹の家ですから――」
江戸の味覚は、浅草山谷に止めを差すように、会席料理八百善の名は、沽券が高かったのだった。
「浜子さんが、ムッと黙っているので、おばさんが、その代りにニコニコ、ニコニコして、阿亀さんがわらっているように、例も笑い顔をしてるでしょう。」
「そうや、そうや。」
鼓村氏は、浜子が体が弱いので、転地ばかりしているから、その時持ってゆくのに具合の好い、寸づまりで、幅の広い箏を、正倉院の御物の形ちを模して造らせた話をした。
「箏の裏板へ大きな扉をつけて、あの開閉で、響きや、音色の具合を見ようという試みね、巧くいってくれればようござんすね。」
あの箏の、裏板のバネを鼓村師が考えていることも、わたしは知っていた。
「あれは、わしも期待しています。わしゃあ、日清戦争に琵琶を背負っていって、偉く働らいたり琵琶少尉の名も貰うたりしたが、なんやらそれで徹したものがあって、京極流も出来上ったが、あの人は、なんであんなに、箏にはいっていったものかなあ。」
わたしの眼に、ふっと、一文字国俊の刀が見えた。と同時に、横浜の家の、土蔵の二階一ぱいの書籍の集積が思い出された。