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いちかわくめはち

新編 近代美人伝 (下)

長谷川 時雨

線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (下)(いちかわくめはち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 頁

青空文庫

わたしはなんの遅疑もなく、早速ニャアンと彼女の言葉の下にやった。わたしの眼はお皿からはなれてもいないし、四辺の眼なんぞ考えにも入れていなかった。ただ、しかし、可愛らしい小猫の柔しみがなかったので、

「まるでドラ猫だ。」

と、呟やきながら、もいちど、せいぜい小猫らしくやって見た。

と、浜子は、下をむいて、クックッと笑いを噛み殺している。それがとても嬉しそうなのだ。で、お皿を下げに来た給仕人の笑い顔を感じて、わたしは卓の人たちを見ると、みんな、呆れきった眼を丸くしてわたしにそそいでいるのだった。

あッはッははは。とわたしは男のように声を出してしまった。これが計画で御馳走があったのかと、見破ったからだった。浜子は、あたしのニャアンと言うことなど、あたりまえのことで、なんとも思いはしないことは知りきっているのだが、ただ、浜子の友達のなかに、こんなことを、平気でするものがあることを、吃驚するであろうみんなの前で披露して、呆れかたが見たかったのだ。それが思い通りだったので、楽しかったのに違いない。お景物に、わたしが、それがなんなの? といった顔をして、呆れている友達たちの顔を見たことまでが、予期した通りの好結果であったのだ。