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いちかわくめはち

新編 近代美人伝 (下)

長谷川 時雨

線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (下)(いちかわくめはち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 頁

青空文庫

開けたアメリカにもまた、古い国の家柄とおなじようにブルジョア規約があるのだった。四百名で成立っている紐育金満家組合が、まず、ジョージ・モルガンを除名し、モルガン一家の親戚会では、お雪夫人を持つ彼を、一門から拒絶した。

お雪の生家では、出来ない相談として、モルガンに養子に来てくれといったが、モルガン一族は親類附合すらしないというのだ。

「日本であそんで、フランスへ行こうよ。」

「ええ、丁度お里帰りですわ。」

お雪は、日本へ帰れるのが嬉しかった。米国の社交界から、漂泊的な生活をしている上に、クリスチャンでない女と結婚したという理由で、非紳士的行動だと、追われるように立ってゆく、モルガンの悲しい心は知りようがなかった。

あの草川のほとりに仮住居していたのは、その時のことだったが、モルガンが浮気する――そんな噂に浮足たって、お雪はフランスへ永住のつもりで、二度目の汽船に乗った。いよいよもう何時帰るか故郷の見おさめだと思った。

みんな、行ったばかりの、パリの感想というものは、暗かった、古っぽかった、湿っぽかったという巴里は、恐そらくお雪にも、他の日本人が感じた通りの印象を与えたのだろう。