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いちかわくめはち
新編 近代美人伝 (下)
長谷川 時雨
線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (下)(いちかわくめはち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 頁
そして、自由劇場再進出の計画が、市川左団次によって実現されようとしている。
私は、霜白き暁を、多少の感傷をもって黙然としている。
二
テトテトと、暁の霜に冴えるラッパの響きに、眠りついたばかりの床のなかで、清子はうっすら眼をさました。
歩兵一聯隊の起床ラッパを、赤坂檜町の旧居で聴いている錯覚をおこしていたが、近くで猫が、咽喉を鳴らしている気もした。
はっきりしない頭のどこかで、猫は近所へあずけて来たはずだがと、預けたとはいえ、空家へ残して来た、黒と灰色との斑の毛並が、老人のゴマシオ頭のように小汚ならしくなってしまっていた、老猫のことがうかんだ。
――あれは、一ツ木の縁日へいった時、米屋の横の、溝っぷちに捨てられていたのを拾ってやったのだが、また宿なしになってしまやしないかしら。
泡鳴氏が汚ながるし、厭いなので、捨てて来はしたが――
と、そう思うと、引越しのとき、山のように積んだ荷車の、荷物の上へせっかく捨てた古柄杓を、泡鳴氏は拾って載せた――あんなことをしなければ好いのにと、見ないふりをして眼を反らしたが、冬の薄ら陽が、かたむきかけたのを痩せた背に受けて、古びしゃくを拾いあげて荷物の上にさしこんでいる、厭だった姿が、まぶたの上にはっきりとした。