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いちかわくめはち

新編 近代美人伝 (下)

長谷川 時雨

線上閱讀長谷川 時雨《新編 近代美人伝 (下)(いちかわくめはち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 138,172 字 · 277 頁

青空文庫

電燈が薄ぐらく曇る煙りのなかで、泡鳴を揺り起して見せると、

「妙なことをする人だ。急に何を思出したんだ、この夜更けに。」

と、もうそんな事には興味ももたなかった彼は、ともすると、

「なにも、いやいやいてもらいたくない。」

というようになった。

*

前号に、荒木郁子さんに養われて、震災の時に死んだ男の子を、清子の実子でないように書いたが、それは、あんまり諸方訊きあわせたための行きちがいであった。生田花世さんは、その頃、ペンネームを長曾部菊子といわれたが、芸術まず生活の実行からと、水野葉舟氏の家に女中奉公をされていた。仲のよかった岩野、水野の両家の交わりは、紫紺の釣金マントを着て、大丸髷の清子女史を伴なった泡鳴氏がお得意の面で、

「清子も、とうとう僕の子を、ここへ入れている。」

と、細君のお腹をさして、満足気にいってたのを見て知っているということだった。

釣鐘マントの流行は大正三、四年ごろだった。その時分に、この夫妻は大阪から帰って、東京巣鴨宮仲に住んでいた。四年の夏のころ、清子の健康はすぐれていなかったことや、大正十二年に九歳位だというのにも合っている。