輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
線上閱讀梅崎 春生《桜島・日の果て・幻化(さくらじま)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 169,810 字 · 345 頁
同行者としての責任感は、たしかにある。いや。同行者の責任なんて、一体あるものかな。連帯感はあるが――」
押えていた歪んだ情念が、しだいに彼の体の中で高まって来た。女の肩の丸みやあたたかさが、彼を刺戟した。
「その後、同行者としての連帯感が、だんだん信じられなくなって来た。酒を飲んでも、勝負ごとにふけってもだめだった。それでとうとう病院に入って、治療を受けた。おれの体、薬くさいだろ。今朝まで病院にいたんだ」
「今朝退院したの?」
「そうだ」
五郎は腕に力を入れて、女を抱き寄せた。女はすこしあらがった。
「そんなことをしてもいいの?」
唇が離れた後、女はすこし怒ったような声を出した。
「いいんだよ。おれたちは同行者なんだから。二十年前、君はおれを見た筈だし、おれは君の姿を見た筈だ。どんな姿だったか、覚えていない。モンペ姿で、可愛らしいお下げ髪だったんだろう」
「そうよ。可愛らしかったかどうか、知らないけれど」
女は自分の頬に掌を当てた。
「すこし酔って来たわ」
「どうしてもこの土地を見たい。ずっと前から、考えていたんだ。今はうしなったもの、二十年前には確かにあったもの、それを確めたかったんだ。