輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
線上閱讀梅崎 春生《桜島・日の果て・幻化(さくらじま)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 169,810 字 · 345 頁
「ふん、ふん」
「志願兵でやって来る。油粕をしめ上げるようにしぼり上げられて、大事なものをなくしてしまう。下士官になる。その傾向に、ますます磨きをかける。そして善行章を三本も四本もつけて、やっと兵曹長です。やっとこれで生活が出来る。女房を貰う。あとは特務少尉、中尉、と、役が上って行くのを楽しみに、恩給の計算したり、退役後は佐世保の山の手に小さな家を建てて暮そうなどと空想してみたり。人間の、一番大切なものを失うことによって、そんな生活を確保するわけですね。思えば、こんな苛烈な人生ってありますか。人間を失って、生活を得る。そうまでしなくては、生きて行けないのですか。だから御覧なさい、兵曹長たちを。手のつけられない俗物になってしまっているか、またはこちこちにひからびた人間になっているか、どちらかです」
「そうだね」
私は、吉良兵曹長のことを頭に思い浮べていた。彼は、ひからびた男でもなければ、また俗物でもない。全然違った別の型の人間だ。志願兵の頃から、精神棒などで痛めつけられていた人間、他の人間なら諦めて忍従して行くところを、おそらくは胸に悲しい復讐の気持を、自ら意識せずに育てて行ったにちがいない。