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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
線上閱讀梅崎 春生《桜島・日の果て・幻化(さくらじま)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 169,810 字 · 345 頁
〈降りて来るかな〉
へんな中年男が仔細ありげに窓を見上げている。なぜ見上げているか、訊ねる権利は彼にあるだろう。こちらも応じなくてはならないが、何と答えたらいいのか、と思う。その瞬間、窓にふたたび顔があらわれた。カメラを五郎に向け、シャッターを切った。シャッターの音は、あたりの雑音の間を縫って、まっすぐに彼の耳に届いた。彼はたじろいだ。
めずらしくかき氷屋があった。東京ならもう店仕舞をしている筈だが、ここは南国なので商売がなり立っているのだろう。粒々のガラス玉をつらねたのれんがあり、それを押分けて五郎は入って行った。不機嫌な声で注文した。
「氷イチゴ!」
また背中のあちこちが痛み始めていた。
「それに、水一ぱい」
痛いというより、熱っぽく疼いている。水を少女が持って来た。薬を取り出して効能書を読む。(頭痛、歯痛、筋肉痛。一回一錠。一日三回まで)一錠をつまみ出して、水でのむ。そして上衣を脱いだ。やはり暑いのである。
「このすこし向うの――」
店番をしている婆さんに、彼は何気なく聞いた。
「雑貨屋の隣の二階家ね、あの二階に住んでいるのは誰だね?」
「学生さんでっしょ。