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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

線上閱讀梅崎 春生《桜島・日の果て・幻化(さくらじま)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 169,810 字 · 345 頁

青空文庫

陸軍の特攻隊はここらを中継地にして、知覧に飛んだのだろう。今はそれが民間航空の空港になっている。

「朝八時半か九時に羽田を発つと、午前中に着くね」

「はい。熊本駅まで三十分ぐらいの距離ですけん」

三田村はああいう性格だから、やはり飛行機でやって来るだろう。

「友達が迎えに来るんだ。おそらく午前中にね。その前に登らなきゃ――」

「友達?」

女は立って足の方に廻り、彼の膝を曲げ、胸に押しつけたり伸ばしたりする作業を始めた。それはかなり刺激的な運動であった。

「そんなら友達といっしょに登ればよかじゃないですか」

「そうは行かないんだ。あいつはすぐおれを、東京に持って行く」

「持っち行く?」

女は妙な顔をした。

「まっで荷物んごだんね」

「荷物だよ。おれは」

饒舌になっている、と自分でも思う。女は彼の体をまた裏返しにした。

「足ん裏ば踏んじゃろか。サービスですたい」

五郎の足裏に、しめった女の足が乗った。初めはやわらかく控え目に、つづいて全体量をこめて、交互に動いた。女の厚ぼったい足に接して、彼は自分の蹠がスルメみたいに薄く、平たいことを感じる。それ故にこそ、なまなましい肉感が彼に迫って来た。