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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
線上閱讀梅崎 春生《桜島・日の果て・幻化(さくらじま)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 169,810 字 · 345 頁
「戦争に勝てば、と言ったのか」
「はい」
敬礼をして、兵隊は壕の中に入って行った。私は、莨を崖の下に捨てると、暗号室の方に歩き出した。
昨日、通信長が、暗号室に入って来て、暗号書の点検をし、こういう情勢で何時敵が上陸して来るか予測を許さんから、その時にあわてないように、不用の暗号書、あまり使わない暗号書は、焼いてしまったがよかろうと言った。今日午後、それを燃すことになった。私も、それに立会おうと思った。
暗号室に近づくと、二三人の兵隊が、それぞれ重そうな木箱をかついで来るのに出会った。
「暗号書かね」
「そうです」
私達は山の上につづく道を登って行った。私と同じ階級の電信の下士が、ガソリンの瓶を持って後につづくのと一緒に、私も肩をならべて山の方に引き返して歩いた。
林を隔てて、見張台と反対の斜面に一寸した窪みがあって、兵隊はそこに木箱を下し、腰かけて汗をふいていた。私達が近づくと、それぞれ立ち上って、箱から暗号書を出し始めた。皆赤い表紙の、大きいのや小さいの、手摺れしたのやまだ新しい暗号書が、窪みにうずたかく積まれた。
電信の下士が向う側に廻って、一面にガソリンをふりかけた。