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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
線上閱讀下村 湖人《次郎物語(じろうものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 146,773 字 · 294 頁
それを無礼だとは思わんか。」
これには、地曳網の連中も、さすがに意想外だったらしく、すぐには声援が出来なかった。しかし一人が思い出したように、「そうだ失敬千万だ!」と言うと、つぎつぎに、「こいつら、聞いちゃおらんぞ」とか「上級生を馬鹿にするにもほどがある」とか、いろんな罵声が方々から起って来た。
新入生たちは、おそるおそる顔をあげた。しかし、みんな眼のつけどころに困っているようなふうだった。その中で、次郎一人だけが、わざとのように首をのばし、狐の顔をまともに睨んでいた。
しばらく沈默がつづいた。狐は新入生たちの顔を一人一人丹念に見まわしていたが、次郎の眼に出っくわすと、その視線はぴったりとそこでとまった。つぎの瞬間には、彼の頬に、つめたい微笑が浮かんだ。微笑が消えたかと思うと、彼の癇走った声がトタン屋根をびりびりとふるわすように響いた。
「おい、そのちび! 貴様はよっぽど生意気だ。出て来い!」
次郎は動かなかった。そして彼の眼は依然として狐を見つめたままだった。
「出て来いと言ったら、出て来い!」
もう一度狐が叫んだ。しかし次郎はびくともしなかった。