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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
線上閱讀下村 湖人《次郎物語(じろうものがたり)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 146,773 字 · 294 頁
――過去の深刻な運命というものは、それに似た新しい小さな運命をあざけるとばかりは限らない。それは、ちょうど骨の髄をいためた古疵と同じように、ちょっとした寒さにもうずき出すことがあるものなのである。
町に出て行くのは、次郎もみんなといっしょだった。その日、みんなは、いつもの朝礼の時間に学校にあつまり、全校児童のまえで、校長先生からの激励の辞をうけ、万歳の声におくられて、権田原先生を先頭に、寒い春風のなかを粛々として校庭を出た。
校門を出て五六分も行くと、天満宮の前だった。
権田原先生は、そこでみんなにひとりびとり拝殿の鈴を鳴らさした。それから、また列を作って歩き出したが、しばらくたつと、みんなはもうわいわいはしゃぎ出し、列もいつの間にか乱れて、道いっぱいにひろがり、先頭も後尾もないようになった。先生は、それでも何とも言わないで、例のとおり、ふとった頸の肉を詰襟のうえにたるまして、のそのそと歩いていた。が、だしぬけに立ちどまって、うしろをふり向いたかと思うと、
「こらあっ!」
と、破鐘のような声でどなりつけ、にぎり拳を高くふりあげた。
みんなは、一瞬ぴたりと足をとめて、先生を見た。