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えどげいじゅつろん
江戸芸術論
永井 荷風
線上閱讀永井 荷風《江戸芸術論(えどげいじゅつろん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 85,130 字 · 167 頁
清信が役者一枚絵は元禄以降正徳年中において次第に流行しその後継者たる鳥居派二世の絵師清倍に至りて益流行を極め、これがために元禄時代菱川師宣の盛時に流行したりし墨摺絵本類の板刻は享保に至りて大に廃れたりといふ。(元文に入り西川祐信出づるに及び絵本は再び流行せり。)鳥居清倍と同時代に二世清信あり。その画は元祖清信が歿年(享保十四年)の頃より寛延三年の頃まで続いて出しが故に、時として元祖清信の作と混同して大に今日の研究者を苦しましむ。役者絵は以上鳥居派の三画工並にその門人の外に、奥村政信及びその門人のこれを描けるもの尠からず。以上諸画工の役者絵は皆墨摺の板行絵に彩色を施したる丹絵臙脂絵漆絵の類なり。寛保三、四年に至り始めて色摺の紅絵現はれ一枚絵の外また役者似顔の団扇絵漸く流行せり。浮世絵色摺の発達につきては余既に鈴木春信論の中に述べしが如く、元禄より元文を過ぎ寛保に及ぶまで凡五十年間は仮に西洋美術史上の用語を以てすればいはゆる「復興期以前」の時代に相当すべし。今それら宝暦以前の浮世絵に現はれたる役者絵を以てこれを演劇の歴史に対照せしめんか、『役者名物袖日記』