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かいじょうのみち
海上の道
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《海上の道(かいじょうのみち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 182,344 字 · 353 頁
金銀宝石と光輝を競うことが、かの心理の根源ではあったろうけれども、同時にまた是を手に入れる機会の乏しさが、今日の眼からは考えられぬほどの、異常なる貴重視を促したのかと思われる。
中国古代史学の展開につれて、この点は今後ますます確実になって行くことが期待し得られる。殷の王朝が、中原に進出した背後の勢力は東方にあった。いわゆる東夷の海の営みの中で、今でもすでにほぼ明かになっているのは、宝貝の供給であった。それが遥かなる西方の指導に呼応したか、はたまた独立して一つの流行の端緒を作ったかは、まだはっきりとは決し難いにしても、ともかくも或る代の大きな偶然によって、窄い入口の開いたことだけは、まず疑いがない。ただそれが東南の或る一つの島群、最も大陸に近い、ことに風候の最も便宜ある、八重の汐路の一筋であったことは、支那の文籍の問題でないだけに心を留める者が少なく、こちらはまた南海は何処の渚にも、あの美しい宝貝がころころと転がっているもののように、思っている人だらけなのだから、ついぞ話題には上らなかったのである。実際の分布は黒潮の及ぶところ、太平洋岸は茨城・福島の境まで、日本海側は富山県を限りと言われているが、それも種類が少なく美しいものはなく、ことにうつせ貝のあざれて浜に寄るものばかりで、活きて海中にいるのを手に入れる