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かいじょうのみち
海上の道
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《海上の道(かいじょうのみち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 182,344 字 · 353 頁
一一
一一
そこで立ち戻って今一度、ツシタマの古名を考えてみなければならぬが、是は仏法の念珠の名を借りたものでないときまると、その由来の解説が、やはり今後の事業の一つとなるのである。旧日本の方では地名その他に幽かな痕跡があるほかに、もうこの単語は行われていないのに反し、沖縄の島では幸いに是と近い語が「おもろ」という歌謡の中に保存せられていた。「おもろ」はもと歌うものでまた舞うものであったことは確かであるが、久しく記憶で伝わり、採録の時がやや遅れたばかりに、その沿革と成立の事情が明らかでなく、今においてなお決定せざる諸説がある。神歌と我々は訳しているが、現に祭事以外の目的に製作せられたものが稀ならずあり、用字法がやや現代と異なる故に、今日の耳には通じない語彙も若干ある。そういう中において四、五カ所以上、ツシヤという名詞が使われているのは、ツシタマの根原を知ろうとする者にとって、注意せずにはいられない事実であった。
まず最初に、『おもろ草紙』のツシヤは、問題の※(「くさかんむり/意」、第3水準1-91-30)苡子、すなわち今日謂うところのズズダマという草の実でないことは確かである。