輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

はいいろのきおく

灰色の記憶

久坂 葉子

線上閱讀久坂 葉子《灰色の記憶(はいいろのきおく)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 65,588 字 · 132 頁

青空文庫

運動場を十ぺんかけまわった。こんなことが夕食の時もち出されて賑やかにした。

私達のクラスで一番よく出来る男の子が、或る日、岩波の本をよんでいた。その年頃には、みな大きな形の絵入りの大きな活字の本ばかりよんでいるのに、彼一人、父の書斎に並んでいる、内容がいかにもむつかしいような岩波文庫をよんでいたのに対して、私は大きな尊敬をいだいた。しかしその本は私も今まで読んでいたアンデルセン童話集であったのだ。私は家へかえって、漱石の坊ちゃんだと父に告げた。何故、そんなことにわざわざ嘘をつくのか、その原因はわからないままに、大人が驚く姿を喜んだ。

私の家は、子供四人に、女中が三人、乳母と両親の家族であり、部屋数も随分あったけれど、古びていて何かと不便であったので、大規模に改築することを、水害の翌年行うことになった。新しい木の柱の臭いや、うすいおが屑は、私に、海辺の毎日を思い起させた。大工さんと、船頭さんとの間に、何か似通った一つの魅力があった。毎日学校からかえると工事場へ行って邪魔にならないように仕事をみていた。二階に私と姉の部屋として新しく日本間と洋間が出来、離れの陰気な病室は、やはり二間つづきの兄の部屋になおされたし、応接間はすっかり壁紙が代わり、ベランダがつけられた。