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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
線上閱讀梅崎 春生《狂い凧(くるいだこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 頁
「城介は昔からそうだったよ」
栄介がそばから口を出した。栄介はパイチュウにかなり酔ったらしく、呂律が怪しかった。私は注意した。
「矢木。あまり飲むのはよせ。帰れなくなるぞ」
分院の仕事は忙しかった。マレー半島での負傷者、あるいは結核とかマラリア患者が、どんどん後送されて来る。香港はそれら患者のいわば中継地になっていた。しかし気候はいいし、物資は豊富だし、酒もいいし、北辺の守りにくらべれば、気分は快適である。勝ち戦であることも、それに大いに作用していた。
マレー作戦が一段落つき、部隊はふたたび北方に戻ることになる。浙※(「章+(夂/貢)」、第3水準1-92-31)作戦の直前である。香港を出発する時、野戦病院の医療品の中から、パビナールが相当量紛失するという事件が起きた。薬品行嚢が梱包される前か、梱包される途中かは判らない。誰かが抜き取ってしまったのである。
「外部からではなかろう。部隊内に中毒患者がいるに違いない」
ひそやかな部隊詮索が始まった。
「自分もちょっと変だなと思うことがあったね」
昏れかかった東京湾の水の色を眺めながら、加納は言った。
「香港でいっしょにシャワーを浴びたことがあったんです」