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くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

線上閱讀梅崎 春生《狂い凧(くるいだこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 頁

青空文庫

三

ことに走ると、それが目立った。彼はオートバイ乗りみたいな姿勢で走ったよ」

「城介が走るとこを、君は見たことがあるのか?」

「あるよ。どこだったか、どこかの遊園地でだ。まだ君に話さなかったかな」

三

殴ろうと言い出したのは、矢木城介の方であった。もちろん私はとめた。

「ほっときなよ、あんなの。殴ったって仕方がない」

しかし城介は黙って、その方をにらんでいた。眼が凶暴にきらきら光って動いている。こんな眼の動かし方を、兄の栄介は絶対にしない。城介に特有のものであることを、私は彼とつき合い始めて、間もなく知った。双子と言っても二卵性の方なので、同じ時期に同じ胎内に育ったというだけで、兄弟みたいなものだから、顔かたちは似ていても、性格や考え方はかなり違っているのだ。

その遊園地は戦前のものなので、現在のそれのように大規模でけばけばしいものではなかった。しかし形としてはほぼ同じで、丘や凹地や庭があり、池には貸ボートが浮び、遊戯施設も一応ととのっている。売店ではおでんやキャラメル類を並べ、拡声器が〈東京ラプソディ〉や〈ユモレスク〉などのメロディを園内に流している。いつだったか私は城介といっしょに、そこに遊びに行った。