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くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

線上閱讀梅崎 春生《狂い凧(くるいだこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 頁

青空文庫

十四

しかし栄介は幸太郎を、家に迎え入れるつもりは毛頭なかった。駅に迎えに行っただけなのに、幸太郎は強引に彼について来たのだ。

門を入るとすぐ幸太郎は、軽蔑したような小声で言った。

「何だ。何ちゅうまた小さな玄関じゃなあ」

粗末な門柱を入ると、すぐ玄関になっている。幸太郎が言うように、玄関はごく小さい。玄関だけでなく、家全体が小さい。十五坪ほどの建売住宅なので、玄関だけを巨大にするわけには行かない。栄介の育った故郷の借家の玄関にくらべると、広さが三分の一ぐらいだ。それに戦後の東京の建築は、生活様式の関係もあって、門がまえだの玄関は小さくする傾向にある。幸太郎はずっと田舎暮しだから、そのことを知らないのだろう。彼は聞えないふりをして、玄関の扉をあけた。

「たくさん靴や下駄が並んどるなあ」

幸太郎は大げさに眉をひそめた。

「これじゃわしの靴が割込むすき間がない」

玄関の下駄箱がまた小さいので、入りきれない履物が自然とたたきに並ぶのである。

「割込むすき間がないですか」

胸の中につめたい笑いを感じながら、栄介はそう言った。幸太郎のために履物を整理する気持はなかったし、その義務もない。