輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

くるいだこ

狂い凧

梅崎 春生

線上閱讀梅崎 春生《狂い凧(くるいだこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 頁

青空文庫

交叉点まで無言で歩いた。シグナルが赤で、私たちは立ち止った。

「それをネタにして、養老院行きを承知させたのかい?」

「ふん」

栄介は鼻を鳴らして笑った。

「そんな冷酷なこと、おれはしないよ。遠廻しに勧めたら、あっさり承知したんだ。体も弱って来たし、当人もその気になったんだろう」

栄介の言葉の内容と反対に、やはりその語調は私の耳に無惨に響いた。たとえ幸太郎の養老院行きが、幸福な道であるとしても。

「そこで君に頼みがあるんだがね、幸伯父は養老院行きの前に、多磨のおん墓に詣りたいと言うんだ」

「多磨?」

「そうだ」

信号が青になったので、私たちは歩き出した。

「車で案内しようと思うんだが、おれだけじゃ間がもてそうにない。君も同行して呉れないか。多磨墓地に行ったことがあるかい?」

「いや」

「おれは戦後多磨墓地の抽籤に当ってね、九州から骨を移したんだ。いいところだよ。樹がたくさん生えていて、まるで公園みたいだ。行って呉れるか」

「行ってもいいけどね」

私は言った。

「君は幸伯父の過去に、興味は持たないのかい?」

「興味ないね」

栄介はそっけなく答えた。

「安らかに死んで呉れたらいいと思っている。