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くるいだこ
狂い凧
梅崎 春生
線上閱讀梅崎 春生《狂い凧(くるいだこ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 111,430 字 · 226 頁
またその商法は学生たちの気に入っていた。城介が三杯食べたのも、ただに空腹のためだけでなく、その商法のせいである。ついに一人が言った。
「仕方がない。逃げようか」
それを提言したのは、城介ではない。しかしその一言が、彼等の気持を一挙に踏み切らせた。今思うと、上着か帽子をカタに置いて来ればいいのに、その才覚ははたらかなかったようだ。はたらいたとしても、あとの面倒を考えるより、逃げる方がかんたんであった。もう当り屋に行かなきゃ、それで済むのだから。
それともう一つ、城介が居残りを拒否したのは、相手の三人が充分に信用置けないという点もあった。事件のあとで、城介は栄介に言った。なぜそんなバカな真似をしたんだ、という栄介の非難への答えである。
「あいつら三人は、貧乏人じゃないんだ。みんな割に大きな家に住んでいるんだ」
「するとそいつらは、金を出し惜しみをしたというわけか」
「そうじゃない。その時実際に、金は持っていなかっただろう」
城介は苦しそうな笑顔をつくった。
「あんなやつは、おれを居残りにして、そのままにして、平気で授業を受けるんだ。おれは時々、そんな目にあったことがあるんで、イヤだったのさ。