輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

線上閱讀火野 葦平《花と龍(はなとりゅう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 頁

青空文庫

「吉藤の玉井です」

「ああ、金さんじゃなあ。ちょいと、お待ちいな。うちのも、あんたの来るのを、さきにから、待っとった。じき呼んで来るけに……」

内儀と入れちがいに、主人があらわれた。色の青い、小柄な中老人だが、辣腕な商人として鳴りひびいた男である。金壺眼の奥に、狡そうな淀んだ光が沈んでいる。

すぐに、商談がはじまった。店先の框に、腰を下した二人の間に、算盤が置かれた。

この取引が、うまく行くか、行かぬかで、玉井家の運命がきまる――父が、自分を使いに出した責任の重大さを考えると、金五郎は緊張せずには居られなかった。

算盤の玉を、四つ、下からはねあげておいてから、じっと、※の顔色をうかがった。

腕組みしたまま、思わせぶりに、※は、にやにや笑っている。いつもなら、電光石火に、値の交渉が行われて定まるのだが、どうしたのか、※は、返事をしない。金五郎が、算盤の玉で示した値段にも、さほど関心を持っていないようにすら見える。

金五郎は、すこし、じれて来て、

「どうですか、この値では?」

それでも、黙っているので、

「これ以上は、一銭もまからんですよ。早う、手を打って、金を渡しなさい」