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ずいひつ みやもとむさし

随筆 宮本武蔵

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《随筆 宮本武蔵(ずいひつ みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,786 字 · 278 頁

青空文庫

そんな手合が、そら講談だとか、史実がどうとか、お先走って、活字の唾を飛ばしてくるのだから、こっちもちょっと返答のしようがない。

東西朝日の夕刊面に、宮本武蔵を書いてから、毀誉褒貶、叱言の投書もずいぶん打つけられるが、実際の仕事に当ってから僕も意外に感じたのは、一方にそういう概念の民衆があるかと思うと、また一面には、熾烈な宮本武蔵研究家と、武蔵の独行道や五輪書をとおして、彼への崇拝者の実に多いことであった。このほうの人々は、勿論、史実や遺墨を辿って、かなり真実に近いはずの古人を把握していて、武蔵への景慕は、研究というよりはむしろ信仰的でさえある。

武蔵の研究とか景仰とかいうものは、近年の日本主義風潮の副産物ではない。楠正成は五百年祭に、弘法、法然は一昨年あたりからの宗教流行に、二宮尊徳は浜口内閣以後に、それぞれ傾向的な色彩で再検討にかけられたが、宮本武蔵はジャアナリストの必要では呼び出された例がない。ただ四年ほど前に直木三十五が、武勇伝雑話、上泉信綱と宮本武蔵、武蔵の強さ、等において武蔵非名人説を書いたり座談したりして、しきりと論敵を誘いかけたぐらいなものである。