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ずいひつ みやもとむさし

随筆 宮本武蔵

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《随筆 宮本武蔵(ずいひつ みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,786 字 · 278 頁

青空文庫

桿を試す

達人老いず

その故は、君侯の命を受けて見事描かんと思う戒心があるからである。しかるに夜中悟るところあって、剣法の心を以って無念無想に描き上げたるに、初めて意に通うものが出来上った」と述懐した。

桿を試す

「旗差物の桿の良否を試しとうござるが――」

と、百本ばかりの竹を武蔵に示すものがあった。

武蔵は無造作に竹の一端を掴み、一本一本打ち振ったところが、みな折れくだけて、たった一本だけが残ったのである。

「これだけは八幡大丈夫と存ずる」

「如何にも慥な鑑定法なれど、貴殿如き力量人でのうては出来申さぬ方法じゃ」

と、互に呵々大笑したという。

達人老いず

さすがの武蔵も老年に至って、ときに足元の危ないことがあったらしい。

長岡興長の邸に参会のあった時、武蔵は箱段を上らんとして足元よろめき、袴の腰に手をかけて力を入れ、みずから、

「ヤッ」

と、掛声して上ったことがある。

その後、武蔵の屋敷近くに火事があったが、町幅の狭いところなので、屋根から屋根へ梯子を渡して、猿のように身軽く走り通る者があった。

人々余りの敏捷さに感嘆の声を放ったが、それが箱段すら危なげに上った武蔵であったので、