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ずいひつ みやもとむさし

随筆 宮本武蔵

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《随筆 宮本武蔵(ずいひつ みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,786 字 · 278 頁

青空文庫

かえって、大淵の法孫として、性天という僧のほうが有名である。大淵の法孫に性天あり、その名、法山に轟く、とは妙心寺史にも見える記載である。

性天は、学匠として聞えていた。和州南都の人で、詩文に深く、草書を能くし、泰勝院細川幽斎公のために、宝永年間、虚堂録を提唱し、また、折中録は一世に行われた良著だともいわれている。そのほか語録三冊、含虚外集等の著述もあり、元禄から宝永の半世を熊本の泰勝寺に位して、寿六十九で同地に終っているという人である。――もっとも死んだ場所は肥後城東の神水、湘陰寺で寂したとなっている。

こうしたふうに大淵その人も、大淵の法孫の事歴も、ほぼ明白なのに、なぜ大淵の法嗣をうけて泰勝寺の二世に坐った春山の人間も事歴も、晩年の宮本武蔵と親交があったということを除いては、いっこうに分っていないのだろうか、不審といえば不審だが、また、考えように依って当りまえといえば当り前な気もするのである。

なぜならば、これは自分の私見からいうのであるが、小倉碑文の有名になったことや、武蔵の道友であったということなどから、春山和尚の名は、当人の実質以上に余り名僧かの如く引き上げられ過ぎて来たのではあるまいか。