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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 宮本武蔵(ずいひつ みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,786 字 · 278 頁
二本の撥
逸話の上から観ると、武蔵の事蹟は、故郷にいた少年時代と、晩年の熊本時代に多く遺されている。それから考えても、中年期は住所を定めず、漂泊の修業をつづけていたことがわかる。ただ吉岡一族を相手としての一乗寺下り松の決戦と、佐々木小次郎との巌流島の試合は、共に青年時代の流寓中の事件であるが、一世を震撼させた事件なので、かなり詳細にそして後世まで伝聞されたものと思われる。
しかし、右の二事件は、余り有名であるし、逸話というよりは物語になるから、ここにはわざと省いておく。
二本の撥
幼い武蔵は、村の荒巻神社の境内へ行ってはよく遊んでいた。(この神社は現在も、岡山県英田郡讃甘村宮本に現存していて、宮本家の旧宅の跡といわれる石垣と小川一つ境にして隣り合っている)
或る時、そこの神楽殿で、楽師たちが太鼓を打っているのを見て、幼い武蔵は、奇異な眼をかがやかして、
二本の撥から、一つの音が出る――
という当り前なことに、大きな疑問を抱き始めた。
それと、右利きとか、左利きとか、これも人間が当り前に思っている習性の通念を破って、左右二本の撥が、少しの高低もなく一律の音波となって太鼓から鳴り出す微妙な動作に、