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ずいひつ みやもとむさし
随筆 宮本武蔵
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 宮本武蔵(ずいひつ みやもとむさし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 141,786 字 · 278 頁
しかし遺っているその墨蹟物も、まったく、限られていて、ほとんどが、晩年、熊本に落着いてからの筆蹟ばかりといってよい。
それも主なものは、兵法に関する長文なもので、書自体が鑑賞されるような物は、ごく少ない。
森大狂氏が編纂した「宮本武蔵遺墨集」を始め、かつて高島屋で大規模な企画のもとに展観した時の目録を見ても、大体、筆蹟の物は、次の品目に限られていたようだ。
一 五輪書(長巻)地、水、火、風、空の五巻
一 三十五箇条序(巻)
一 兵法三十五箇条(冊子)
一 独行道(巻)
これらは、たいがい、藩主細川忠利のために書いたのと、自分の知己とする者のために贈ったのが、今日、伝存しているわけだが、中には、後に、門流の人が伝写した、悪意でない他筆の物も往々にしてあるので、それがよく武蔵の真蹟として混同されたりしている。
以上の中で、熊本の野田家に伝わった「独行道」は、正保二年五月十二日という奥書があり、武蔵が死の数日前に書いたものであることが明らかなために、まま彼の独行道を以て“武蔵の遺戒”とする人もあるが、独行道は、決して、ひとのための遺戒ではなく、彼が剋己して来た若年からの、彼自身の持って来た自戒であることは、その内容と文辞を見れば、疑う余地は全くない。