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ずいひつ しほんたいへいき
随筆 私本太平記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 私本太平記(ずいひつ しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 56,947 字 · 114 頁
さすが考証めんみつで故事にきびしい翁にしてさえ、当時の官憲へのはばかりもみえて、余りおもしろいものではない。参照も「名和紀事」や「伯耆巻」の程度である。
またここでも異説が多い。帝の上陸地は、どこであったかと、史蹟や史論も紛々なすがただ。「船上記」「伯耆巻」などは大阪港(下市)と載せ、「梅松論」には野津とみえ、「増鏡」には稲津ノ浦とあり、諸書みなちがう。これだから隠岐の配所が、島後か島前かなども、けりはつかない論争とうなずかれる。
阿波海賊の岩松経家の名を隠岐脱出の蔭にみることは、これまでの史書にも島のつたえにもない。あれはいったい何に拠ったのか、と四、五の読者からおたずねがあった。
岩松党は、群馬県新田郡の岩松村が発祥地である。だから質問者の三通までが、その地方の読者だった。もっともなご不審である。そのお答えをもう少しこの茶話で言い足すならば、従来あまりにも岩松一族の活躍が、軽く見すぎられていたものということに、断言してよい。
これまでの史説だと、足利高氏も新田義貞も、その旗上げ動機は、ずいぶんあやふやで、出来心ジミている。
たとえば義貞などは、吉野攻めに参加しつつ、ひそかに大塔ノ宮の令旨を乞い、急に仮病をとなえて本国へ立ち帰るのだ。