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ずいひつ しほんたいへいき
随筆 私本太平記
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《随筆 私本太平記(ずいひつ しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 56,947 字 · 114 頁
その二十五
米原駅の前で、ちょっと休む。というよりは道に迷って来過ぎたらしい。しかしここでK氏が買って車へ入れてくれた一個十円のドラやきの美味さは忘れかねるものだった。車はあとへもどって、旧、番場ノ宿の山の横道へと入って行く。――有名な“六波羅の蓮華寺過去帳”を蔵する寺――蓮華寺を訪うためにである。――北条仲時以下、一族数百人が自刃したそこの遺跡は、江戸名所図会では街道すじのすぐそばの美しい山門として描かれているが、今ではまったく山中の一村裏になってしまい、昔の門前町のおもかげはどこにもなかった。(三六・三・三一)
その二十五
どこでも御遠忌ブームである。お節句のノボリみたいな物が立っている。寺僧の案内でさっそく宝物の“六波羅過去帳”だけを見せてもらう。しかし、板戸一枚の物置にひとしい本堂裏の一劃にほかの宝物類と並んでいるだけなので、長い間には火災や雨モリの心配さえありそうに思われた。
この“六波羅過去帳”などは史上貴重な文献ではあるが、たれが見てもおもしろいような宝物ではない。摸本だけをおいて、実物は適切な保管を講じておくがよいと思う。万一のさいはあとでくやみ合うにきまっている。