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せいあどうきだん

青蛙堂鬼談

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《青蛙堂鬼談(せいあどうきだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 121,438 字 · 238 頁

青空文庫

自分もひと通りの剣術は修業しているが、なんといっても年が若い。真剣の勝負などをした経験は勿論ない。卑怯な闇討をするにしても、相当の準備が必要であると思ったので、彼は途中の竹藪から一本の竹を切出して竹槍をこしらえて、それを掻い込んで窺い寄ったのである、葉ずれの音をさせないように、彼はそっと芒をかきわけて、まず小屋のうちの様子をうかがうと、笛の音はやんでいる。小屋の入口には筵をおろして内はひっそりとしている。

と思うと、内では低い唸り声がきこえた。それがだんだんに高くなって、弥次右衛門はしきりに苦しんでいるらしい。それは病苦でなくて、一種の悪夢にでもおそわれているらしく思われたので、喜兵衛はすこしく躊躇した。かの笛のために、彼はあしかけ十年のあいだ、絶えず苦しめられているという、さっきの話も思いあわされて、喜兵衛はなんだか薄気味悪くもなったのである。

息をこらしてうかがっていると、内ではいよいよ苦しみもがくような声が激しくなって、弥次右衛門は入口の筵をかきむしるようにはねのけて、小屋の外へころげ出して来た。そうして、その怖ろしい夢はもう醒めたらしく、彼はほっと息をついてあたりを見まわした。