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せいあどうきだん
青蛙堂鬼談
岡本 綺堂
線上閱讀岡本 綺堂《青蛙堂鬼談(せいあどうきだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 121,438 字 · 238 頁
」
父も母もそれぎり寝てしまったようですが、わたくしはいよいよ怖くなって寝られませんでした。ほんとうにお化けが出たのかしら。こんな晩だからお化けが出ないとも限らない。そう思うと眼が冴えて、小さい胸に動悸を打って、とても再び眠ることは出来ません。
早く夜が明けてくれればいいと祈っていると、浅草の鐘が二時を撞く。その途端に離れの方では、何かどたばたいうような音がまた聞えたので、わたくしははっと思って、髪のこわれるのもいとわずに、あたまから夜具を引っかぶって小さくなっていますと、父も母もこの物音で眼をさましたようです。
「また何か騒ぎ出したのか。どうも困るな。」
父は口叱言を言いながら再び手燭をつけて出ましたが、急におどろいたような声を出して、母をよびました。母もおどろいて縁側へ出たかと思うと、また引っ返してあわただしく行燈をつけました。どうも唯事ではないらしいので、わたくしも竦んでばかりいられなくなって、怖いもの見たさに夜具からそっと首を出しますと、父は雨にぬれながら井田さんを抱え込んで来ました。
井田さんは、真っ蒼になって、ただ黙っているのですが、離れから庭へころげ落ちたとみえて、寝衣の白い浴衣が泥だらけになっています。