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せいあどうきだん

青蛙堂鬼談

岡本 綺堂

線上閱讀岡本 綺堂《青蛙堂鬼談(せいあどうきだん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 121,438 字 · 238 頁

青空文庫

蛇吉の蛇吉たるところはここにあると言ってよい。

ところが、ある時、その第二線をも平気で乗り越えて来た大蛇があったので、見物している人々は手に汗を握った。蛇吉も顔の色を変えた。彼はあわてて退いて第三線を守ると、敵は更に進んで乗り越えた。

「ああ、駄目だ。」

人々は思わず溜息をついた。

蛇吉が退治に出るときは、いつでも赤裸で、わずかに紺染めの半股引を穿いているだけである。きょうもその通りの姿であったが、最後の一線もいよいよ破られて万事休すと見るや、彼は手早くその半股引をぬぎ取って、なにか呪文のようなことを唱えて跳り上がりながら、その股のまん中から二つに引裂くと、そのうわばみも口の上下から二つに裂けて死んだ。蛇吉はひどく疲れたように倒れてしまったが、人々に介抱されてやがて正気にかえった。

その以来、人々はいよいよ蛇吉を畏敬するようになった。彼が振りまく粉薬も一種の秘薬で、蛇を毒するものに相違ない。その毒に弱るところを撃ち殺すという、その理屈は今までにも大抵判っていたが、今度のことは何とも判断が付かなかった。九死一生の場になって、彼がなにかの呪文を唱えながら自分の股引を二つに引裂くと、蛇もまた二つに引裂かれて死んだ。