輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

まじゅつし

魔術師

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《魔術師(まじゅつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,264 字 · 280 頁

青空文庫

だが、曲者は、上野駅で明智をさらった手際でも分る様に、人の虚を突く術を心得ていた。一同が幽霊通信に慣れてしまって、寧ろ曲者の巧みな暗示にかかって、油断し切っていたその夜、正しくは十一月十七日の深夜、予告の日限に先だつこと三日にして、突如、戦慄すべき大犯罪は行われたのである。

二郎青年は、真夜中頃、異様な笛の音にふと目を覚ました。

耳をすますと、階下の主人の寝室と覚しきあたりから、何とも云えぬ、物悲しい調子の横笛の音が、細々と響いて来るのだ。定まった曲を調ている訳ではなく、唯なんとなしに、出鱈目に吹き鳴らすといった調子だけれど、その節廻しが、不思議にも哀深く、美しく、例えば綿々たる恨みをかき口説くが如く、尽きせぬ悲愁を歎くが如く、一度耳にしたならば、一生涯忘れることが出来ない様な種類のものであった。

福田氏は横笛なぞ吹けないのだし、それにこんな真夜中、仮令誰にもせよ笛を吹いているなんて変だ。「空耳かしら、いやいや確かに横笛の音だ。しかも、叔父さんの寝室に間違いはない。若しや……」と思うと、二郎はちりけに氷でも当てられた様に、ゾッと身がすくんだ。

やがて、笛の音はパッタリやんだ。