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まじゅつし
魔術師
江戸川 乱歩
線上閱讀江戸川 乱歩《魔術師(まじゅつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,264 字 · 280 頁
水水水
水水水
だが、底知れぬ明智の胆力は、この土壇場を平気で笑い飛ばすことが出来た。虚勢と言えば虚勢である。併し、彼の心の内に一種不思議な感じが湧上っていた。何かしら神秘な予感があった。その微妙なものの力によって、彼は最後まで自信を失わなかった。
「お祭騒ぎは止し給え。相手はたった一人なんだぜ。しかも身動きも出来ない程縛りつけられているんだぜ。君達はこの僕がそんなに怖いのかね。ハハハハハハハ、こんなになってもまだ平気でいる僕が、薄気味悪いのかね」
道化師はそれを聞くと、何を思ったかギョッとした様に一歩後にさがって、
「繩目は大丈夫か」
と覆面の男を振返った。男は明智の側によって、入念に繩の結目を検べ、
「大丈夫です」
と答えた。
「よし、それじゃ、愈々最後だぞ。文代その男の腕をまくるんだ」
文代と呼ばれた美しい娘は、繩の喰入った明智の腕をまくろうとして、二三歩前に進んだが、この場の激情的光景に耐え兼ねたのか、真青になって、フラフラと倒れかかった。
「馬鹿、どうしたんだ」
道化師が娘を支えて怒鳴ったので、彼女はやっと気を取直して、明智の上にかがみ込み不器用に、長い間かかって、洋服の腕をまくった。