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まじゅつし

魔術師

江戸川 乱歩

線上閱讀江戸川 乱歩《魔術師(まじゅつし)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 139,264 字 · 280 頁

青空文庫

すると、アア、彼は又しても怪文字に出くわしたのである。

今度は進一少年が発見者だった。二郎が探しあぐんで、やっぱり気のせいだったかと、稍々安堵を感じながら自分の部屋へ戻って来ると、そこに進一少年がいて、彼が這入るなり声をかけた。

「小父さん、こんなにカレンダーめくってしまって、いたずらだなあ。今日は十一月の二十四日でしょう。それに、十二月六日だなんて」

云われてそのカレンダーを見ると、なる程6という字が大きく現われている。

「進ちゃん、君だね。こんないたずらしたのは」

二郎は笑おうとしたが、うまく笑えなかった。

進一がそんな悪さをしないことは分っていた。無論、何者かがその部屋に忍込んで、例の数字を書く代りに、カレンダーを破って、6という字を示して置いたのだ。前二回は屋外であったのが、今度は屋内のしかも二郎自身の部屋だ。魔術師の様な怪物は、誰にも見とがめられず、自由自在にこの邸内を歩き廻っているのだ。二郎はもう黙っている場合ではないと思った。

翌晩日の暮れ暮れに玉村氏の自動車は、京浜国道を大森の自邸へと走っていた。東京の店からの帰りだ。二郎もこの車に父と同車していた。