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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
線上閱讀小栗 虫太郎《黒死館殺人事件(こくしかんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 頁
僕は、そこへ反証が挙りゃしないかと、そればかり懼れているところなんだよ。だいたい、包囲形を作って絞り出した結果というのが、2-1=1の解答じゃないか。しかし、倍音が……倍音が?」
無論それ以上は混沌の彼方にあった。法水は必死の精気を凝らしてすべてを伸子に集注しようとした。かつての「コンスタンス・ケント事件」や「グリーン殺人事件」等の教訓が、この場合、反覆的な観察を使嗾してくるからである。けれども、百花千弁の形に分裂している撞着の数々は、法水の分析的な個々の説にも、確固たる信念を築かせない。いかにも、外面は逆説反語を巧みに弄んでいて、壮大な修辞で覆うている。けれども、説き去るかたわら新しい懐疑が起って、彼は呪われた和蘭人のように、困憊彷徨を続けているのだ。そして、ついに問題が倍音に衝き当ってしまうと、法水は再び異説のために引き戻されねばならなかった。突然彼は、天来の霊感でも受けたかのように、異常な光輝を双眼に泛べて立ち止った。
「支倉君、君の一言が大変いい暗示を与えてくれたぜ。君が、倍音はこの鐘のみでは証明出来まい――と云ったことは、とどの詰りが、演奏の精霊主義に代る何物かを捜せ――という事だ。