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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
線上閱讀小栗 虫太郎《黒死館殺人事件(こくしかんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 頁
第七篇 法水は遂に逸せり※(感嘆符疑問符、1-8-78)
一、シャビエル上人の手が……
また、その大観を夜風が掃いて、それを波のように、南の方へ拡げてゆくのだった。そのうち、法水の脳裡にふと閃いたものがあって、その観念がしだいに大きく成長していった。そして、彼は依然その場を離れないで、しかも、触れる吐息さえ怖れるもののように、じいっと耳を凝らしはじめたのだった。すると、それから十数分経って、どこからかコトリコトリと歩む跫音が響いてきて、それがしだいに、耳元から遠ざかっていくように離れていくと、法水の身体がようやく動きはじめ、彼は二度伸子の室に入っていった。そして、そこに二、三分いたかと思うと、再び廊下に現われて、今度は、その背面に当るレヴェズの室の前に立った。しかし、法水が扉の把手を引いた時に、はたして彼の推測が適中していたのを知った。何故なら、その瞬間、あの憂鬱な厭世家めいたレヴェズの視線――それには異様な情熱が罩もり、まるで野獣のように、荒々しい吐息を吐いて迫ってくるのに打衝ったからである。
第七篇 法水は遂に逸せり※(感嘆符疑問符、1-8-78)
一、シャビエル上人の手が……
故意に、法水が音を押えて、扉を開いた時だった。その時レヴェズは、煖炉の袖にある睡椅子に腰を下していて、顔を両膝の間に落し、その顳を両の拳で犇と押えていた。