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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
線上閱讀小栗 虫太郎《黒死館殺人事件(こくしかんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 頁
と関聯させて、この事件をジャーナリスチックにも、煽り立てる心算のように思われた。しかし、法水は終日書斎に閉じ籠っていて、その日はとうとう黒死館を訪れなかったが、恐らくそれは、遺言状を開封させるために、福岡から召還した押鐘博士の帰京が、その翌日の午後になった事と、また一つには、津多子夫人の予後が未だ訊問に耐えられそうもないという――以上の二つが決定的な理由のように思われた。けれども、それを従来の例に徴してみると、法水が静かな凝想の中で、何か一つの結論に到達しようと試みているのではないかと、推測されるのだった。勿論その日の午前中に、法医学教室から剖見の発表があった。その中から要点を摘出してみると、ダンネベルグ夫人の死因は明白な青酸中毒で、薬量も、驚くべきことには〇・五と計測されたが、肝腎の屍光と創紋とは、いずれも生因不明であって、単に蛋白尿が発見されたという一事に尽きていた。それから易介になると、絶命推定時刻は法水の推定どおりだったけれども、異様な緩性窒息の原因や、絶命時刻と齟齬している脈動や呼吸などについては、まさに甲論乙駁の形で、わけても、易介が傴僂病患者であるところから、その点に関した偏見が多いようだった。