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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
線上閱讀小栗 虫太郎《黒死館殺人事件(こくしかんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 頁
どうしてフォスコロの嗜血癖が、残忍な拷問刑具の整列裡では起らずに、美しいビスカヨ湾の自然のなかで生れたのだろうか。そのセヴィリア宗教裁判所とサントニア荘との建築様式の差を、この事件でもけっして看過してはならんと、僕は断言したいのだよ」とそこで彼は激越な調子を収めた。そして、以上二つの例を黒死館の実際に符合させて、その様式の中に潜んでいる恐ろしい魔力を闡明しようと試みた。
「現に僕は、事実一度しか行かない、しかもあの暗澹たる天候の折でさえも、黒死館の建築様式に、様々常態ではない現象が現われるのに気がついているのだ。勿論、そういう感覚的錯覚には、とうてい捕捉し得ない不思議な力がある。つまり、それから絶えず解放されないことが、結局病理的個性を生むに至るのだよ。だから熊城君、いっそ僕は極言しよう。黒死館の人々は、恐らくその程度こそ違うだろうが、厳密な意味で心理的神経病者たらざるはない――と」
誰しも人間精神のどこかの隅々には、必ず軽重こそあれ、神経病的なものが潜んでいるに相違ない。それを剔抉し犯罪現象の焦点面へ排列するところに、法水の捜査法は無比なものがあった。