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こくしかんさつじんじけん

黒死館殺人事件

小栗 虫太郎

線上閱讀小栗 虫太郎《黒死館殺人事件(こくしかんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 頁

青空文庫

と再び、他ではとうてい解しきれぬような奇言を吐いてから、彼は問題を事務的な方面に転じた。

「ところで、今日の出来事当時は、どこにお出かけになりましたか」

「ハイ、私は自分の室で、ジョオコンダ(聖バーナード犬の名)の掃除をいたしておりました」とセレナ夫人は躊まずに答えてから、レヴェズの方を向いて「それに、確かオットカールさん(レヴェズの名)は、驚駭噴泉の側にいらっしゃいましたわね」

その時レヴェズ氏の顔には、ただならぬ狼狽の影が差したけれども、「いやガリバルダさん、鏃と矢筈を反対にしたら、たぶん、弩の絃が切れてしまうでしょうからな」といかにも上ずった、不自然な笑声で紛らせてしまったのである。そうして二人は、なおも煩々しく、津多子の行動について苛酷な批判を述べてから、室を出て行った。二人の姿が扉の向うに消えると、それと入れ違いに、旗太郎以下四人の不在証明が私服によってもたらされた。それによると、旗太郎と久我鎮子は図書室に、すでに恢復していた押鐘津多子は、当時階下の広間にいたことが証明されたけれど、不思議な事には、この時もまた、伸子の動静だけが不明で、誰一人として、彼女の姿を目撃した者がないのだった。