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こくしかんさつじんじけん
黒死館殺人事件
小栗 虫太郎
線上閱讀小栗 虫太郎《黒死館殺人事件(こくしかんさつじんじけん)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 296,741 字 · 584 頁
したがって、そこから弦の間近に焦点が作られるので、当然壁の石面に熱が起らねばならない。そして、弦には異常はなくても、まず変化しやすいラミイの方は、組織が破壊されるのだ。ところが、そこに、犯人の絶讃的な技巧があったのだよ。と云うのは、二本のラミイの長さを異にさせた事と、また、それを弦の中で甘瓢形に組み、その交叉している点を弦の最下端――つまり、弓の本弭の近くに置いたという事なんだ。すると、最初に焦点が、その交叉点よりやや下方に落ちて、まず弦よりやや短い一本が切断される。そうすると、幾分弦が弛むだろうから、その反動で撚り目が釘からはずれ、したがって弩が壁から開いて、当然そこに角度が作られなければならない。それから、太陽の動きにつれて焦点が上方に移ると、今度は弦を、その長さまでに縮めた最後の一本が切断される。そこで、箭が発射されて、その反動で弩が床の上に落ちたのだよ。勿論床に衝突した際に、把手が発射された位置に変ったのだろうけれど、元来把手による発射ではなく、また、ラミイの変質した粉末も、ついに弦の中から洩れることがなかったのだ。ああクリヴォフ――あのカウカサス猶太人は、たしかグリーン家のアダの故智を学んだのだ。